今週から五月の松竹座(大阪)公演『マリー・アントワネット』の稽古が始まっている。 一昨年の十一月に新橋演舞場でやった芝居の再演なのだが、再演といっても、キャストの変更もあるし、三幕モノで場数も多く、大人数の芝居でもあるので、やっぱり稽古はけっこう大変。 で、その初日の火曜日。 ちょうど休憩時間に昨年二本の舞台でお世話になった舞台監督の津田さんから電話。 「いま和田掘公園におるぞ〜」 これには揺れたね。 この公園はオレの自宅から自転車で10分ほどの桜の名所なのだが、津田さんの会社「バック・ステージ」が毎年花見を開催してる場所でもある。 そこで今年も花見をやってるから「来いよ」というお電話なのである。 折りしも3日の火曜日は前日までと翌日からの寒さが信じられないようなポカポカの絶好のお花見日和。 いや〜、揺れた揺れた。 ちょうど休憩中に団時朗さんと外を眺めながら「今日お花見したら最高ですよね〜」と話してる最中だったのだ。 しかし、何といっても稽古初日。終了予定は9時だ。とても行けそうにない。 「ひじょ〜に残念ですが」と丁重にお断りして、稽古に戻った。 ところが、だ。 神はいたね。 稽古終盤に予定されていたダンス振り付けが先生の都合で急きょキャンセルとなったのでした。 それならそれで早く帰って、本来ならば先日のパソコ・クラッシュで遅れを取った仕事を少しでも取り返さなくてはならないのだが、何せ相手は今年最後にして最高の「花見のチャンス」である。 そしてオレは幸か不幸か日本人なのだ。 即決で「今宵ばかりは仕方なし!」と意を決し、帰り道に巻き寿司を仕入れて和田堀公園へゴー! 夜になり、すでに宴はたけなわ。 去年も書いたが、ここは何しろ舞台屋さんの花見なので、実に至れりつくせりだ。 舞台の廃材で作ったというウレタンを布でくるんだ敷物も実にありがたいし、紅白幕は去年まで高津で借りてたそうだが、今年のはもう自作なんだそうだ。 やるねえ。 気合が違うよ。 そして……。 いや〜、酔ったね。 人に酔い、酒に酔い、そして何より、花に酔ったよ。 本当にその夜はいい夜で、何しろ暖かい夜に花吹雪だ。本当に「おお、盃に桜花が……」ってな風情なのよ。 何か岡森くんの日記を見ると、その前日にあったという扉座の花見はずいぶん寒かったらしいな。 やっぱり花見というのは難しいね。 日を決めておかなきゃ、お互いに集まれないという事情もある。 どうしても予定が必要だ。 だけど、やっぱりこうして、ある日、突発的にやる花見がいちばんいい。 オレ的にはこれで3年連続で、突発的な「なりゆき花見」となった。 いいよ、やっぱ。
今宵逢う人みな美しき。 人間は春が好きなようにできている。
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