▼あらすじ
嘉永六年(1853年)、江戸。長州藩士・桂小五郎(のちの木戸孝允)は、神田お玉が池千葉道場の娘、千葉さな子に一方的に恋していた。だが、さな子は土佐脱藩浪人・坂本竜馬の許婚者。
そしてある日、竜馬は江戸から姿を消す。この年、ペリー率いるアメリカ艦隊が浦賀沖に来航、日本は激動の幕末時代へと突入した。
会津藩主松平容保(かたもり)は、京都守護職として新選組を作る。「百姓から侍になる」という夢を胸に、近藤勇・土方歳三・沖田総司ら三人の若者が新選組に参加、京都へ。一方桂は、長州藩倒幕派のリーダーとして、やはり京都で恐れられる存在となってゆく。そして、その桂がピンチに陥るたびにその危機を救う謎の覆面剣士・白頭巾−その正体は、千葉さな子であった。さな子は、愛する男・坂本竜馬に再び巡り会うために、激動の京都に身を投じていたのだ。
桂は白頭巾に、竜馬への屈折した思いを吐露する。さな子という、自分の惚れた女を捨てた竜馬が心底憎いと。そして、自分は何が何でも生き残って、新しい時代を作らねばならないのだと。だが桂は、自分が二流の人間だということを自覚しているからこそ、竜馬を憎み……そして実は尊敬しているのかも知れなかった。
一方、新選組副長となった土方は、容保から非情の命を受ける。土方が惚れている島原遊女・明里を斬れというのだ。明里は実は桂の愛人であり、長州の隠密なのだ、と。明里を通じて、幕府方の情報は長州に筒抜けになっているのだ、と。だが、明里を前にした土方は、刀を抜くことが出来ない。そして彼女に「一緒に百姓をやろう」と言う。「侍をやめて、あなたと一緒になりたい」と。……土方の純情に触れた明里は、自ら長州の隠密であることを告白する。……彼女にとっては、死を覚悟の告白だった。土方は、明里の前で、ゆっくりと刀を抜く……。
ある夜、さな子は、桂に恐ろしい計画を告げる。風の強い日に京都に火を放ち、その混乱に乗じて松平容保を殺害、天皇を長州へ連れ出して倒幕の詔勅を得ようというのだ。倒幕派の者は一様にその過激な作戦に賛同し、桂に参加を強要する。「大勢の人間の命を奪っても、新しい時代はやって来ない」と反対する桂にさな子は言う。「これだけの大計画を実行すれば、きっとあの人は帰って来る……」竜馬に会いたい心が、さな子を狂気に陥れていた。さな子を止める術のないことを知った桂は、血判状に署名する。
桂は苦悩の末、容保に「三条小橋・池田屋に過激派分子が集合している」と告げる。仲間を売ったのだ。新選組は池田屋を襲撃、次々と倒れていく桂の仲間たち。さな子も沖田の手にかかって最期を遂げる。かの「池田屋騒動」である。
傷心の桂の前に、ついに坂本竜馬が姿を現す。竜馬は「新しい時代」が近づいていること、桂にその「新しい時代」を託したいと思っていることを告げるのだった。
そして、数々の血が流れた末、「新しい時代」が訪れる……。
※この後、新たなシーンを足したりリライトされたりして何度か上演された『HAPPY MAN』シリーズの原点。松平容保が実はホモで、あの手この手で土方を口説こうとするシーン、新選組がイメージアップをはかろうと洛中で「戦え! 新選組」なるアトラクションショーを実施するシーンは、その後のシリーズでもパターンを変えて受け継がれ名物シーンとなった。 |