▼あらすじ
大正十四年、横浜のカフェ「青猫」。
女主人・綾子が経営するそのカフェには、詩人のハギワラ、不良少年のキッドらが入り浸っている。ある夜、そこに乱入した一人の男は、世間を騒がせている希代のピストル強盗「ピスケン」であると名乗る。続いて現れるアナキスト・大杉栄の亡霊。綾子は、大杉のかつての愛人であった。そして、実業家・佐伯新太郎とその友人の科学者野口英世もやって来る。佐伯は、国産モルヒネの事業化の夢に燃えていた。いつの間にか宴となっていく「青猫」の夜。
綾子は、「ピスケン」が偽物であることを看破していた。そして、一緒にピストル強盗をやっていくことを提案する。こうして、二人による「和製ボニー&クライド」の日々が幕を明ける。
だがやがて、その日々も次第に暗雲に覆われていく。大杉の亡霊と綾子の仲に入っていけないピスケンの葛藤。思想犯を弾圧するために訪れる特高警察たち。キッドとその姉・杳子の愛憎劇。ハギワラは、妻・ハギモガとの生活を見つめなおすために「青猫」を去り、佐伯は内務省衛生局の弾圧にあって夢を破られ……一人、また一人、ピスケンのもとを去っていく。ピスケンは佐伯の敵をうつため、爆烈弾を持って、内務省衛生局へと赴いてゆく。 ピスケンによる連続爆破事件が勃発する。ピスケンを捕縛せんと、「青猫」に乱入する特高警察たち。特高たちを制したのは、憲兵隊甘粕正彦であった。大杉を殺した人間である甘粕は、もう一度大杉の亡霊に会って、大正という時代が何であったか確かめるために「青猫」に来ていたのだ。
そこへ戻ってくるピスケン。だが、爆破事件によってキッドの父親が重傷を負ったことが判明する。大杉は、妻・伊藤野枝の亡霊とともにパリへと旅立ち、「青猫」に残ったのは、綾子とピスケンの二人となる。
「青猫」は今や、夥しい数の警官隊に包囲されていた。二人は寄り添うようにして外へ出て行く。やがて、すさまじい銃声が……。
※初めてグランドホテル形式(同一の場所で事件が展開する)に挑戦した、M.O.P.版『俺たちに明日はない』。大正時代、大杉栄・伊藤野枝、神近市子をモデルとした綾子など、その後のマキノワールドに繰り返し現れる時代、キャラクターが描かれ、『HAPPY MAN』シリーズと一線を画した転機的作品だった。 |