▼あらすじ
昭和二十一年、九州・小倉。
昔かたぎのヤクザである村雨一家と、新興勢力大文字組の抗争が激化していた。そんな中、村雨一家の親分・金五郎の娘である竜子は、かつての恋人・岡本晋太郎の帰りを待っている。晋太郎はかつて中等野球で七色の変化球を投げると言われた名投手でもあった。
そんなある日、職業野球のルーキー・大下弘が現れ、それをきっかけに街に野球熱が高まる。晋太郎とバッテリーを組んでいた花山銀次は村雨一家の客分となって、一家の若い衆・五郎や、街の人々に野球を指導する。
そして、晋太郎は帰って来た。だが、晋太郎は、昔のようなボールを投げられなくなっていた。戦時中の経験が、晋太郎を虚無的な人間に変えていたのだ。
一方、大文字組若頭・羽暮研一は、過去に晋太郎らと対戦した時の因縁から野球嫌いになっていたが、やがて子分を率いて野球チーム「ファイヤーズ」を結成、村雨一家のチーム「ストロングス」と定期戦を行うようになる。
大文字組はヒロポンの密売で勢力を広げ、そのヒロポンで「ストロングス」の少年エース・ツヨシが死亡。村雨一家と大文字組の対立は頂点に達し、両チームは縄張りをかけて試合することになる。そして、小倉警察署長に就任した晋太郎は、その試合で乱闘を起こさせ、それを機に、一気にふたつのヤクザ組織を潰そうと計画する。
予想通り乱闘が始まり、そこに現れた晋太郎は、銀次を殴りつける。「もうみんな昔と変わってしまったのに、まだ野球が好きだと言うお前は許せない」と。だが、銀次に殴り返された時、晋太郎は何か、熱いものが心のどこかに残っていることに気づく。
晋太郎は、ピッチャー交替を告げ、竜子からグラブ受け取る。今なら、昔のように、本物のボールが投げられるかも知れない、と。
※M.O.P.史上最も大勢のキャストで上演された芝居にして、最も「熱い芝居」と語り継がれている作品である。 |