第32回公演 『夏のランナー』

京都/1998年9月16日(水)〜18日(金)京都府立文化芸術会館
東京/1998年9月30日(水)〜10月4日(日)シアターサンモール
作・演出 マキノノゾミ

CAST
村雨竜子   キムラ緑子
岡本晋太郎  岡森諦(扉座)
花山銀次   小市慢太郎
羽暮研一   三上市朗
襟巻     穂積哲也(フリー)
村雨金五郎  酒井高陽
藤ノ木の五郎 木下政治
遠賀川の宇平 林宏二
寅子     林英世
お仙     千田訓子(フリー)
富子     塩釜明子
平造     篠田剛(演劇集団キャラメルボックス)
安治     林力(劇団轍)
浩吉     長尾譲二
勝吉     杉本明朗(アクションクラブ)
竹蔵     武田浩二(アクションクラブ)
恭司     下高谷健(アクションクラブ)
庄ちゃん   森下じんせい(フリー)
オロゲン   友久航
ツヨシ    永滝元太郎
ガタ公    日下部信(劇団轍)
古賀     奥田達士
ヒョロ松   近藤善樹(フリー)
ツルちゃん  白木三保
ヤエ     塩湯マユミ
ゲンコ    竹山あけ美
カヨ     ほりすみこ(フリー)
MP     BLAKE CRAWFORD(フリー)
男(大下弘) 大家仁志(青年座)

STAFF
演出 マキノノゾミ
照明 大川貴啓
音響効果 堂岡俊弘
衣裳 三大寺志保美
アクション指導 杉本明朗(アクションクラブ)
照明操作 中江義一 渡部真紀 勝本英志
音響協力 柴垣みゆき 
ナレーション協力 川下大洋
刺青協力 株式会社東京オリジナルカラーシールセンター
小道具協力 高津商会
舞台協力 株式会社京都舞台美術製作所
舞台監督 清水忠文

宣伝デザイン ヒネのデザイン事務所+森成燕三
宣伝写真 0【ハードロック写真場】
パンフレット写真 タカノリュウダイ
舞台写真 伊東和則

エグゼクティブプロデューサー 加藤昌史
制作協力 株式会社ネビュラプロジェクト 
京都府立文化芸術会館
企画・製作 劇団M.O.P.

▼あらすじ
 昭和二十年、終戦直後の北九州小倉の町。若松の侠客村雨金五郎親分の一人娘竜子は、かつて結婚を言い交わした帝大生岡本晋太郎の帰りを待っていた。晋太郎は戦時中左翼思想の政治犯として獄中にあったのである。「戦争が終わって民主主義の世の中になったら晋さんはきっと帰ってくる」そう信じて疑わぬ竜子であった。
 一方、戦後の混乱期を生き抜こうとする人々の根強い生命力は小倉の町に巨大な闇市場を出現させていたが、その縄張りと利権をめぐって新興勢力のテキヤ大文字組と村雨一家との間に絶え間ないせめぎあいが起こっていた。そんなある日、腕自慢の大文字組若頭羽暮研一は、町で偶然喧嘩をした特攻帰りの男が、かつての好敵手小倉第二中学の四番バッター花山銀次であると知る。再会した二人は、過ぐる昭和十二年中等野球北九州大会の決勝戦で、互いに優勝を争った仲だった。そして銀次とバッテリーを組み、得意の変化球で若松に大器ありと騒がれた投手こそ、竜子の待つ岡本晋太郎その人でもあったのだ。
 やがて晋太郎は変わり果てた姿で竜子のもとへ帰って来た。その瞳からはかつて燃えるように理想を語った光が消え、溌らつとして屈託のない野球少年の面影さえ残っていなかった。かつてのチームメイト銀次や、許婚の竜子のどんな慰めも晋太郎の閉ざされた心を開くことは出来なかった。獄中にあって転向し、特高警察のスパイとして働いた自分をただ責めるのみの晋太郎は、やがてどす黒い絶望の淵から警察に志願し、自らを権力の中枢を目指す阿修羅と化してゆく。
 昭和二十五年、大文字組と村雨一家の確執は、まさに一触即発という様相を呈するようになっていたが、その最中、とうとう村雨金五郎暗殺未遂事件が起こる。竜子の奔走と警察の介入で武力衝突の危機は回避されたものの、二つの組は、お互いの縄張りを賭けて野球の試合をするという、前代未聞の決戦を行うこととなるのだった。
 蝉時雨降りそそぐ真夏のグラウンドで、それぞれの生き方を決定的に違えてしまった男たちが、今再び、白球に己の運命を賭けようとしていた。

※第25回公演の再演